そろそろ後期の授業も落ち着いて、年末に向けてバイトのシフトを増やそうか考え始める時期。でも「シフトを増やしすぎると、親の税金が増えるって聞いた」「壁ってよく聞くけど、結局いくらまでなら大丈夫なの?」と、毎年この時期になると同じ疑問にぶつかる大学生は多いはずです。
実は2025年度(令和7年度)の税制改正と、健康保険の制度変更によって、この「年収の壁」の基準が2025年から段階的に変わっています。しかも税金の壁と保険の壁では基準がバラバラなので、混乱しやすいポイントです。この記事では、国税庁と日本年金機構が公表している資料をもとに、2026年時点での最新の基準を整理します。
そもそも「壁」には2種類ある
大学生のバイトにまつわる「年収の壁」は、実は別々の制度が絡み合っています。
- 税金の壁:親(扶養者)の所得税・住民税に関わる壁と、自分自身の所得税に関わる壁
- 保険の壁:親の健康保険の扶養に入れるかどうかの壁
この2つは管轄も基準額も違うため、「税金の壁は超えていないのに保険の扶養は外れた」ということも起こり得ます。順番に見ていきましょう。
税金の壁:103万円から123万円・188万円へ
2025年度の税制改正で新設されたのが「特定親族特別控除」という制度です。国税庁の資料によると、対象は年齢19歳以上23歳未満の親族(大学生の多くが該当する年齢層)で、控除を受けるための年収の目安は次のように変わりました。
- これまで、親が「扶養控除」を満額受けられるボーダーラインは、学生本人の年収が概ね103万円以下でした(いわゆる「103万円の壁」)。
- 改正後は、扶養親族の所得要件が48万円以下→58万円以下に引き上げられたことで、満額の控除を受けられる年収のボーダーは概ね123万円以下に。
- さらに、123万円を超えても188万円以下であれば、収入額に応じて段階的に控除を受けられる「特定親族特別控除」が新設されました。たとえば年収123万円超150万円以下なら63万円の控除、185万円超188万円以下なら3万円の控除、というように収入が上がるほど控除額が減っていく仕組みです。
つまり「103万円を1円でも超えたら親の税金が跳ね上がる」という従来のイメージは変わり、188万円までは段階的な緩和措置があるということになります。
また、学生自身の基礎控除額も見直され、合計所得金額132万円以下の場合は基礎控除が95万円(改正前48万円)に拡大されました。給与所得控除の最低額65万円と合わせると、学生本人がバイト収入だけで所得税を実質払わずに済むボーダーは、103万円から160万円前後まで上がったと説明されています(このあたりの数字はメディアによって「150万円の壁」「160万円の壁」と呼び方が分かれているため、正確な金額は必ず最新の国税庁資料や税理士の解説で確認してください)。
保険の壁:130万円未満から150万円未満へ(2025年10月から)
税金とは別に、親の健康保険の扶養に入っている学生が気にすべきなのが「130万円の壁」です。日本年金機構の案内によると、2025年(令和7年)10月1日以降の扶養認定分から、19歳以上23歳未満の方に限り、年間収入の基準が「130万円未満」から「150万円未満」に引き上げられました。対象になるのは、扶養認定日が2025年10月1日以降で、配偶者でない19〜22歳(扶養認定日が属する年の12月31日時点の年齢で判定)の方です。同居なら扶養者の収入の半分未満、別居なら仕送り額未満という従来の条件自体は変わっていません。
なお、勤務先の従業員数などの条件によっては、これとは別に「106万円の壁」(社会保険への加入義務が発生する基準)が関わってくるケースもあります。この基準は今回の改正の対象外で、勤務先の規模や勤務時間・勤務日数によって適用条件が異なるため、心配な人は必ずバイト先の担当者か、加入している健康保険組合に直接確認してください。
今のうち(年末調整前)にやっておきたいこと
- 直近の給与明細やシフト表から、今年の年収見込みを一度計算しておく
- 複数のバイト先で働いている場合は、年末調整の書類を出す前に収入を合算して把握しておく
- 「学生である」ことをバイト先の年末調整担当者に伝え忘れない(学生には「勤労学生控除」という別の控除もあります)
- 不安な場合は、親の会社の担当部署や、自分のバイト先の担当者に「今年の年収見込み」を伝えて確認してもらう
シフトを増やすかどうかは、目先の収入だけでなく、こうした制度の変化も踏まえて判断すると安心です。バイト先選びそのものから見直したい人は「飲食店バイトはチェーン店と個人店どっちがおすすめ?」も参考にしてみてください。また、壁を意識して浮いた分の収入を将来に向けて活かしたいなら、「高金利のときに株価が上がりやすい企業5選」で資産形成の考え方にも触れておくと、お金の使い道の幅が広がります。
まとめ
2025年度の税制改正と健康保険制度の変更により、大学生の「年収の壁」は税金面で123万円〜188万円、保険面で150万円未満(2025年10月以降の認定分)へとそれぞれ緩和されました。ただし基準や管轄が異なるため、「税金は大丈夫でも保険は外れる」といったズレも起こり得ます。正確な金額は毎年見直される可能性もあるため、最終的な判断は国税庁・日本年金機構・加入先の健康保険組合など一次情報を必ず確認するようにしましょう。
参照した一次情報:
- 国税庁「令和7年度税制改正による所得税の主な改正点」 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0025005-051.pdf
- 日本年金機構「19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年収基準の変更について」 https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2025/202508/0819.html
